老人と薪
今の現場は、千葉市の新興住宅地に 先月28日に上棟した。
とても、複雑な作りの家ですが 大汗流しながら頑張って作っています。
今日は、2人の老人の話をしょうと思います。
一人目の老人は、今日の10時前に現場にやってきた。
推定75歳は過ぎていると思われる男性です。
「大工さん!大工さん」と大声で呼ばれる。
じ「この分譲地で、旗持ちをするんかい?」
何を突然、この老人は言ってるのか?理解ができなかった。
す「はぁ?じいさん何を言ってるの?・・・」
じ「だからこれ?と紙を渡された。」
よく見ると、ちょっと先にある分譲地のオープンハウスの会社らしい
す「あぁ、これね!この先にある会社だよ」
じ「ここじゃないのかい!どうりで背広着た人がいないと思ったよ!」
と言い残すと、即座に自転車に乗り さっそう消えていった・・・
ふと、きずくと!じいさん、紙を忘れていった!
じいさん、せっかちだな~と思いながら 紙をよーく見ると
裏側に1日 3千円と!大きく書いてあった。
ここで、初めてじいさんが言った言葉が理解できた。
そうか?10時にそこの現場で、看板持ちをするんだな!
そして、1日 3千円なんだな!
3千円かー! 1日 看板持って立って!3千円!!
大変だな~ それで安すぎない!?
今日は、午後から北風がひんやりと寒かったし それで3千円。厳しい世の中だね~
お昼を食べに出かけると、いたいた!あのじいさん。
現場の入口で、花輪を首に下げて 看板を右手で持ち 仁王立ち。
頑張ってるなー!じいさん! 3千円稼ぐのに大変な思いをして・・・
と午前中は、このじいさんの事を考えていて終った。
午後5時過ぎに この現場に来てから 毎日来るおばーちゃんがいる。
今日も、来た。
「大工さーん! 薪を貰いにきたよ。」
す「いいよ!そこにあるのなら 持っていきな!」と声を掛ける。
ばーちゃんは、推定80歳ぐらいかな?
歯は抜けて、顔もどす黒い やっけに耳まで隠れる毛糸の帽子。
自転車は、後の荷台がやたらとでかい!
ここに、薪を積んで毎日帰るのです。
今日は、ばーちゃん 「これも貰っていっていいかい!」と・・・
す「えっ!何?」
振り返って見ると・・・建前の時に皆に食べさせた お弁当のゴミである。
す「駄目駄目! ゴミだよ!それ!」
ば「いいんだ!くれ!これ!」
す「何をするの その残飯。 」
ば「食べるんだよ!」
す「そんなの食べたら、おなか痛くなるよ! 駄目駄目」
とわたくしが奪い取り 違うゴミ袋に詰めて置いといた。
ばーさん、悲しそうな顔して 立ち去って行った。
そして・・30分後 帰ろうと思ってゴミの所を見ると!
さっきのゴミが無い??? あれ?
もしかして・・あのばーさん持って行ったのかな?
まったく! しょうがないな!
帰り道・・・高速道路の側道を走って信号で停まると・・・
見たことのある自転車があった!
あの、ばーさんの自転車。
ブルーシートで囲んである家からは、煙が立っていた。
そうか!あの?ばーさん ここで一人で暮らしてるんだ。
信号が青になり 車を走らせながら ばーさんの事を考えていた。
なんだか?解らないが・・・・・・涙が止まらなくなった自分がいた。。。